2013年10月20日日曜日

光源氏の最期:マルグリット=ユルスナールは光源氏の最期を描いた。

『源氏物語』では、光源氏の最期は描かれていない。

光源氏の最期が描かれている『雲隠(くもがくれ)』という帖(じょう)があると伝えられるが、国学者の本居宣長(もとおりのりなが)によれば、巻名はあるだけで、実際には書かれていないだろうとのことである。

光源氏の最期を描いた帖(じょう)がないということで、光源氏の最期を描いた作家がいた。

マルグリット=ユルスナールMarguerite Yourcenarである。

『東洋綺譚』Nouvelles orientalesに収められている「源氏の君の最後の恋」Le dernier amour du prince Genghiを彼女は執筆した。

梗概(こうがい=あらすじ)は、こんなふうなもの。

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老齢となり、死が近いことを悟(さと)った光源氏は、都から3日かかるほどに鄙(ひな)びた場所に移動し、そこで死を迎えようとする。

そこへ、かつて光源氏の情人であった花散里(はなちるさと)が訪れる。

花散里は、身分を偽(いつわ)り、歳(とし)の割には若い肉体をしていることもあって、年齢をも偽(いつわ)るが、視力の衰(おとろ)えた光源氏は気づかないまま、花散里(はなちるさと)は、再び光源氏の情人となる。

まさに死を迎える間際(まぎわ)となり、光源氏は、これまでの女性遍歴(じょせいへんれき)を語る。

しかし、光源氏が、過去の女性遍歴で、唯一、名前を思い出さなかったのは、花散里であった。
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「源氏の君の最後の恋」は好きだよ。訳文もすごくいいしね(原文では読んでいないけれど)。

註:この作品の花散里は、『源氏物語』本編に登場する花散里ではないよ。為念(ねんのため)。







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早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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