2013年7月19日金曜日

「風立ちぬ いざ生きめやも」のフランス語の原文と発音と意味

「風立ちぬ いざ生きめやも」の原文についてである。

もとはポール=ヴァレリーPaul Valéryの詩の一節からの引用である。


Le vent se lève, il faut tenter de vivre.
/l(ə) vɑ̃ s(ə) lɛv, il fo tɑ̃te d(ə) vivr/←発音記号ね。
読み方をむりやりカタカナで書くとこうなるよ。
ル ヴァン レヴイル フォー タンテ ドゥ ヴィーヴ

これを英語に直訳すると、こんな感じになる。

The wind rises, it is necessary to try to live.
The wind rises, it is needed to attempt to live.

ちょっと意訳するとこうなる。

The wind rises, we must try to live.


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追記(2014年7月10日):
Le vent se lève, il faut tenter de vivre.
は、
DVDの英語字幕では、
The wind rises, we must try to live.
ではなく、
The wind is rising, we must try to live.
と、現在進行形になっていた。

フランス語には、英語の現在進行形に相当するものがない。その知識はあったのだが、直訳・意訳で、適宜(てきぎ)、進行形で訳すべきことがあるということに気づかなかった。

人生はいつまでたっても修行だな。
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日本語に直訳すると、こうなるかな。

風が吹く 生きようと努める必要がある

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追記(2014年7月10日)
英語訳から考えて、場合によっては、

風が吹いている 生きようと努める必要がある

というのも、ありかもしれない。
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堀辰雄による「風立ちぬ いざ生きめやも」は、相当に大胆な意訳である。

まず、「ぬ」は完了の助動詞であるが、原文は現在形である。連用形+「ぬ」の場合、「ぬ」は完了の助動詞で、未然形+「ぬ」は打ち消し助動詞の「ぬ」である。「立ちぬ」は完了で、「立たぬ」は打ち消しである。ほかに例を挙げると、「夏は来(き)ぬ」は完了で、「夏は来(こ)ぬ」なら打ち消しである。

「めやも」については、「め」は意志を表す「む」の已然形である。

「やも」は、係助詞(かかりじょし)の「や」に係助詞の「も」がついて一語化した上代語である。平安時代には使われなくなっている。

「いざ生きめやも」は、「さあ、生きようかなあ、いやそうはいかないかな」くらいの意味になる。

なんだか、もとのフランス語とは違う意味になっている。

スタジオ=ジブリの公式ウェッブサイトで、作品名の『風立ちぬ』のほかに、「生きねば!」とあるのは、il faut tenter de vivreというフランス語の意味を簡潔に表していていい。一体、だれがやったんだろう。本当に感心してしまう。


風が吹く 生きなければならない
風が吹いている 生きなければならない


普通に訳すと、ちょっとつまらないなあ。


以下は、フランス語の字幕のついた動画。そのつぎは、フランス語の動画。






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和歌山県橋本市出身。世界文化遺産である高野山の麓です。
和歌山県立橋本高等学校を経て、早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。
B型Rh+。天秤座。家紋は「丸に九枚笹」。
大叔父(おおおじ)は精鋭集団である帝国陸軍航空審査部所属で、「キ61(きろくいち)の神様」と呼ばれた坂井雅夫少尉。キ61は三式戦闘機「飛燕(ひえん)」のことである。

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