2013年5月10日金曜日

7000万円の家に住んでいる生徒の悩みに笑ってしまったが、慰(なぐさ)めたら笑われた。

 7,000万円(土地の値段も入っている)の家に住んでいる生徒に悩みがあった。

 何年か前の時点で東京での1戸建住宅の売れ筋が4,500万円だったということを話した。1戸建ての住宅が買えない人もいて、住宅を買える生活水準の人の最頻値(さいひんち)が4,500万円なので、これ自体、中流の上upper middle classである。じゃあ、うちは貧乏じゃないんだと彼は思ったという。

 ところが、当校に在籍しているうちに、つぎのような話が耳に入ってきた。

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 自宅にプールのある生徒がいる。

 地下室のある豪邸があって、地下室は建築費が高くつきそうなので、保護者に建築費はいくらくらいなのかと訊(き)いたものの、「んー……土地だけで6,000万円です」と答え、建築費は答えなかった。たぶん、厖大(ぼうだい)な金額になるので、言いたくはなかったのだろう。

 母親の大学時代の同級生が、田園調布に3億円の家を建てた。ところが、田園調布で3億円の家だと、周囲と較べて、頗(すこぶ)る見窄(みすぼ)らしくて、恥ずかしいという。謙遜(けんそん)しているのだとその母親は思ったが、お茶会にお呼ばれをして、うちの生徒とその母親が足を運んだところ、飽(あ)くまでも周囲と較べればという話だが、本当に、惨(みじ)めったらしく見えたそうだ。因(ちな)みに長嶋茂雄の息子の長嶋一茂の田園調布にある自宅は2億9千万円台である。羨(うらや)ましがってはいけないぞ。田園調布では惨(みじ)めな自宅なのだから。

 ある生徒の母親に、あの自宅はいくらくらいするのですかと訊(き)いたところ、1億円には届きませんと言ったが、9,998万円だと、あとで生徒から聞いた。

 ある生徒の父親の愛車がイタリアの高級車マゼラーティMaseratiである。尚(なお)、マセラティは正しいイタリア語の発音ではない。

 夫婦と子どもふたりで、高級外車が2台ある家がある。

 インターナショナル=スクールに通う生徒がいる。インターナショナル=スクールの学費は、日本の私立大学の理工学部の授業料よりも高い。日本政府からの補助金がないからだ。

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 以上のことから7,000万円の家に住んでいる男子高校生が、当校に入るまでは、貧乏じゃないと思っていたけれども、なんだか自分ちが貧乏な気がしてきたという。

 そこで、私はこう言った。

 大丈夫だ。安心しろ。ここでいちばん貧乏なのは私だ。

 このやりとりを聞いたほかの生徒たちが自宅で親に話したところ、親御さんがたが大笑いしていたそうである。

 あの人は金を稼ぐ気がないからねえ。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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