2013年3月23日土曜日

「ABCD包囲網」のDだけは、どうして、Dutchという形容詞なんですかと生徒に質問された。

「ABCD包囲網」とは、亜米利加(アメリカ)合衆国United States of Americaと、英国(グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国)United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandと、戦争状態にある支那Chinaと、オランダ王国による、日本に対する経済封鎖である。

 ところが、オランダ王国は、オランダ語ではNederland(ネーデルラント)だし、英語だとNetherlands(ネーザーランズ)である。

 話は逸(そ)れるが、フランス語だとles Pays-Basあるいはle Royaume des Pays-Basである。les Pays-Basはレ=ペイエ=バと読む。-ay-や-ai-は発音の規則どおりだと「エ」と読み、語末の子音字は発音しないのが普通なので、発音の規則どおりだと、paysは「ペ」と読むはずなんだけど、paysは例外で「ペイエ」と読むPays-Basは文字通りには「低い土地:低い国」である。こういうところにフランス人の意地悪さが窺(うかが)われる。

 さて、オランダ王国のところだけが、英語の形容詞のDutchの頭文字(かしらもじ)だというのは、大抵(たいてい)の者が疑問に思う。

 私自身も疑問に思っていた。

 曖昧(あいまい)な記憶なんだけど、ABCD包囲網のDはDutch East Indies(オランダ領東インド=今のインドネシアのこと)の頭文字だという記述を目にしたことがある。

 Dutch East Indiesはオランダ語では、Nederlands-Indiëであり、英語への直訳はDutch Indiesであるが、どういうわけか、Dutch East Indiesと英訳された。オランダ語から日本語にするなら「阿蘭陀領印度(オランダりょうインド)」となる。英訳からだと「阿蘭陀領東印度(オランダりょうひがしインド)である。今のインドネシアである。

 なお、「ABCD包囲網」に相当する用語は、英語・フランス語・ドイツ語にはない。

追記(2014年11月20日):いつの間にか、英語版のWikipediaに、ABCD line(ABCDライン)という項目が存在するようになっていた。ABCD lineそこでは、Dはthe Duitch(オランダ人)とされていた。また、ABCD encirclement(ABCD包囲陣)というものも掲載されていた。

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早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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