2009年6月23日火曜日

「おこなう」を漢字で書いたときの送り仮名(がな)

 「おこなう」を漢字で書くときには、「行う」と「う」だけを送ると決められている。「行う」が本則である。「行なう」は、許容の扱いだ。だから、小学生・中学生には、本則の「行う」で書くように指導する。
 ところが、大学の教官・教員は、許容の「行なう」を使う割合がすこぶる高い。
 たとえば、東京大学教養学部「基礎演習」テキストである(であった)『知の技法』では、「行なう」しか使っていなかったように記憶する。大学の教官・教員は、だいたい「行なう」で表記している。
 「行なう」にこだわるのは、「行った」とあった場合、「行(い)った」なのか、「行(おこな)った」なのか、文脈に依存(いそん)するからであろう。文脈があれば、読み間違うことはないのだけれど。
 事実、当初は、「行なう」が本則であったが、途中から、文脈があれば読み間違うことがないので、原則である「活用のある語の場合、活用語尾を送る」に変更した。
 それでも、「行って」だと、「行(い)って」なのか、「行(おこな)って」なのか、ちょっとひっかかるので、大学の教官・教員は、おしなべて「行なう」を使っている。また、大量の答案を処理しなければならない大学入試で自分が答案などを読む場合にも、「行なう」が好ましいと考えているという意見も耳にしたことがある。
 その一方で、中学校や高校の教員は、絶対に「行(おこな)う」でなければ間違いであると信じている者が少なからずいる。

 以上のことから、つぎのように使い分けるのがよかろう。

中学受験・高校受験
「行う」と、活用語尾しか送らない。

大学受験
「行なう」と、活用語尾のほかに「な」も送る。

 ちなみに、高校生にまで「行う」と「う」しか送ってはいけないと指導する塾・予備校は、大学内部のことを知らないと見なせるのではなかろうか。

   

0 件のコメント:

ブログ アーカイブ

自己紹介

自分の写真
和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

人気の投稿

pageTacker

フォロワー

StatCounter

ashi@