2009年2月1日日曜日

完全数496について

なにかにつけて、496という完全数を使っている。

当校の略称には496を入れているし、英語の指導で使用するプリントには掃除機496方式としている。ここでは掃除機庵主人というハンドルネームを使っているが、ときには掃除機496というのも使っている。

当初、塾の略称については、ありきたりな名前の個人・集団は有象無象にいそうなので、区別するために数字をつけた。それが496である。

496は、整数論の好きな人なら知っているはずだが、完全数である。

完全数とは、それ自身を除いたその数の約数の残りすべてを加えるとその数自身になるものである。

具体例を挙げよう。

たとえば、6は完全数である。6の約数は1、2、3、6である。6を除いた残りを足すと、1+2+3=6となる。

28も完全数である。28の約数は1、2、4、7、14、28である。28を除いた残りを足すと、1+2+4+7+14=28となる。

同様に、496も完全数である。496の約数は1、2、4、8、16、31、62、124、248、496である。496を除いた残りを順次加えると1+2+4+8+16+31+62+124+248=496となる。

そのつぎの完全数は8128である。私自身、ここまでしか憶えていない。ちなみにそのつぎは33550336であり、そのつぎは8589869056だそうだ。

国立大学の附属中学校に通っている生徒がいるのだが、そこでは中学生に完全数を教えていた。授業内容がそのあたりの区立中学校とはちがうんだなあと感心する。しょっちゅう感心させられているんだけどね。教師が6と28の完全数に言及した直後に、うちの生徒が、「496と8128」と言ったので、教師がびっくりしたそうだ。整数論に関する本を読んだ者でも、よほどのことがないかぎり6と28くらいしか憶えないものだから、そりゃあ、びっくりするだろうね。

そういえば、以前、当校に講師として在籍していた早稲田大学理工学部数理科学科(以前は数学科で、最近、再び数学科に戻った)の大学院生も、「数学科の学生でも普通は6と28くらいしか知りませんよ。哲学科なのに、どうして知っているんですか?」と、驚きまじりに訊かれたことがあった。

手持ち無沙汰なときには、身近な数字が素数かどうかを調べたり、いろいろと計算したりする癖が私にはある。たいていは電車の中だ。本を持っていくのを忘れたときには、乗車券に記された4桁の数字が素数かどうかを調べたり、4つの数を使って、ある特定の数字にするにはどんなふうに加減乗除をすればよいかということをしたりする。学生のときには、大学の南門近くにあった貸漫画屋(本も少しはあった。今は美容室になっている)の会員番号が1069で、素数だったのでちょっとうれしかった。

ちなみに、数学者の秋山仁は自動車を運転しているときに、前の自動車のナンバーが4桁の素数だとちょっとドキドキするそうだ。わかるな、その気持ち。

今でもそうなのかは知らないが、当時の早稲田大学第一文学部の学籍番号はこうなっていた。

C△-〇〇〇〇-◇となっていて、「C」は第一文学部を示す。「A」は政治経済学部で、「B」は法学部である。つまり、「偉い順」にアルファベットが学部に与えられているのである(大嘘です)。△には入学年度の末尾が入る。1982年度入学ならば、「2」が入る。〇〇〇〇のところには、ほかの学生の学生番号を較べたときの印象からすると、たぶん50音順で自分の番号が入る。◇にはチェック=ディディットcheck diditが入る。チェック=ディディットとは、数列の誤りや捏造を防ぐために、一定のアルゴリズムにしたがってつけ加えられる数値や記号のことだ。

学生時代の学籍番号の〇〇〇〇のところが、0496だった。

入学後しばらくして、完全数だということに気づき、周囲に自慢した。

ところが、私立の文学部に進学するような連中は、まず、完全数ということばがわからない。だから、完全数とは何かから説明をしないといけない。「ね、ね、すごいでしょ」と言っても、感心してくれない。こっちは猛烈に感動しているのに、この感動がちっとも伝わらない。「から、何?」という反応が多かった。

挙句の果ては「それって、毎年、ひとりはいるじゃん」である。そりゃ、そうだけどさ。

第1志望で入学した大学なんだけど、こんなときには、自分は進学先の選択において大きな間違いを犯したんじゃないかと思ったりもした。そして、その印象はまちがっていなかったと思う。

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和歌山県, Japan
早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業、「優」が8割以上で、全体の3分の2以上がA+という驚異的な成績でした。大叔父は競争率180倍の陸軍飛行学校第1期生で、主席合格・主席卒業にして、陸軍大臣賞を受賞している。いわゆる銀時計組であり、「キ61(三式戦闘機飛燕)の神様」と呼ばれた男である。苗字と家紋は紀州の殿様から授かったものである。

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